横浜市中区山下町70番地。 レストラン「かをり」本店の所在地です。
この地は、実は約130年前の幕末より、西洋に目を向けていた、いわば進取に富んだ地区として、横浜の歴史にその名を留めています。
1861年(文久元年)、幕府はここを外国人居留地として造成。横浜居留地70番地としたのでした。その後、オランダ人経営の外国人向けホテルが創業され、記念すべき日本でのホテル発祥の地となりました。
当時の外国人の日記には「・・・ホテルのバーで外国人がウィスキーを楽しみ、ビリヤードに興じていた・・・」と記されています。もちろん、このあたりで供された食事は、洋食。文明開化の時代を迎えるほんの少し前に、すでに洋食が日常化していたのでした。
ヨコハマは、洋食発祥の地としても、その名を留めていたのです。
さて、明治期に入ると、スペイン人の会社、デンマークとアメリカの合弁会社、さらにはドイツ人経営の企業など、各国の商社が次々と設立。この70番地は、国際色豊かな地区となったのでした。
明治の後期になると、この横浜居留地70番地は、山下町70番地と改められ、1921年(大正10年)には、三菱商事の横浜支店も開設されました。その後この場所には、外国の企業や日本の商社が社屋を構えるようになり、貿易のビジネス地区へと変貌していったのでした。 |